鼻ぺちゃ犬(短頭種)のかかりやすい病気と予防対策は?
キュートで愛嬌あふれる特徴的な顔立ちが魅力の、鼻ぺちゃ犬(短頭種)。
性格も比較的穏やかで人気の高い鼻ぺちゃ犬ですが、鼻の低さゆえにかかりやすい病気があり、とくに「短頭種気道症候群」を発症しやすいといわれています。
そこで今回は、「鼻ぺちゃ犬のかかりやすい病気」や「短頭種気道症候群の症状・治療法」、「短頭種気道症候群を予防する対策」について解説します。
鼻ぺちゃ犬(短頭種)のかかりやすい病気
ブサカワな見た目に比較的温厚な性格で吠えにくいなどの長所も兼ね備えているため、人気の高い犬種の多い鼻ぺちゃ犬(短頭種)。
短頭種にはさまざまな犬種がありますが、代表的な人気犬種はフレンチブルドッグやパグ、ボストンテリアやペキニーズ、シーズーなどです。
見ているだけで心がなごむビジュアルの鼻ぺちゃ犬は、品種改良により作られた犬種で、特徴は頭蓋骨の横幅に対して鼻の長さ(マズル)が短いというもの。
この特徴ゆえに、短頭種の鼻ぺちゃ犬は次のような病気にかかりやすいとされています。
熱中症
犬は暑い季節に舌を出して呼吸することで体の熱を外へ逃がしますが、鼻ぺちゃ犬は鼻が短く口腔内が狭いため、この方法での体温調節がうまくできません。
そのため短頭種の犬は、熱中症へのリスクが非常に高くなってしまいます。
熱中症は命にかかわることもあるため、暑い季節にはエアコンや冷感グッズなどを活用し涼しく過ごせるようにしてあげましょう。
皮膚炎
鼻ぺちゃ犬のフレンチブルドッグやパグなどは、顔のシワの間に皮脂や汚れがたまりやすいため、「皮膚炎」などの病気にかかりやすいもの。
口や目や鼻のまわりの汚れはこまめに拭き取って清潔にし、健やかな皮膚をキープしてあげましょう。
目の病気
鼻ぺちゃ犬の多くは眼窩が浅いため、くりっとした大きな目が飛び出しています。
目が飛び出ているうえに鼻が低すぎてガードする役目を果たさないため、短頭種の犬は目の病気にかかりやすく眼球にケガをするケースも少なくありません。
また鼻ぺちゃ犬の飛び出した眼球の表面は、中心部まで涙の層でしっかり保護するのが難しいため、傷ついてしまうとなかなか治らないことも。
お散歩のときに、植木の枝で目を突いたりほかの犬からのパンチを受けたりしないよう注意を払うほか、乾燥などにも気を配り愛犬のデリケートな目を守ってあげましょう。
上記のほかにも鼻ぺちゃ犬はさまざまな病気にかかりやすい犬種ですが、なかでも圧倒的に多く発症するのが「短頭種気道症候群」です。
次は「短頭種気道症候群」について解説していきます。
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短頭種気道症候群とは
独特な愛らしさで多くの飼い主さんを魅了する鼻ぺちゃ犬ですが、ぺちゃっとした鼻ゆえに、短頭種の犬は先天的に呼吸器に問題を抱えています。
そんな鼻ぺちゃ犬(短頭種)が発症することの多い、呼吸器系の病気をひとまとめにしたものが「短頭種気道症候群」です。
「短頭種気道症候群」とは、他の犬種よりも気道(空気の通り道)が狭いために鼻ぺちゃ犬によく起こる病気で、口や鼻から肺までの広い領域で起こる呼吸器系の疾患が含まれます。
では鼻ぺちゃ犬が「短頭種気道症候群」を発症すると、どのような症状が起こるのでしょうか。
症状
- いびきや睡眠時無呼吸
- 水を飲むときにむせる
- 呼吸時に「ガーガー・ブーブー」といびきのような音が鳴る
- 苦しげに激しく呼吸する
- せきをする
- 運動や散歩を嫌がる
- 嘔吐する
「短頭種気道症候群」が重症化すると、呼吸困難やチアノーゼ(舌や口が青紫色になる状態)のほか、失神してしまうなどの症状があらわれることもあります。
さらに愛犬の上記の症状を放置していると、しだいに病気が進行し命にかかわることもないとはいえません。
愛犬に上記のような症状がみられたら、早めに動物病院で診察を受けましょう。
治療
鼻ぺちゃ犬の愛犬が短頭種気道症候群を発症したら、どのような治療法があるのでしょうか。
短頭種気道症候群は先天的な病気なので完治は望めませんが、次のような治療によって症状が緩和したり進行を遅らせたりすることが期待できます。
- 内科治療=日常的な投薬や、緊急時には酸素室で安静にする
- 予防的手術=外鼻孔切除・軟口蓋切除
短頭種気道症候群が進行すると、「喉頭小嚢反転」の手術や、最終手段として「永久気管切開」を行うケースもあります。
これらは麻酔のリスクも高く入院も長期に渡ることがありますので、もし治療を検討するなら、なるべく愛犬が若く体力のあるうちに予防的手術をしておいたほうがよいでしょう。
短頭種気道症候群を予防する対策
鼻ぺちゃ犬がかかりやすい「短頭種気道症候群」を予防するために、飼い主さんは次のような対策を行いましょう。
- 鼻ぺちゃ犬の体温が上がると呼吸状態が悪化するため、室内の温度は低めにする
- 暑い季節のお散歩は、早朝や夜などの涼しい時間帯にする
- 愛犬の呼吸音やいびきなどに注意を払い、異常を感じたら早めに獣医師の診察を受ける
- 太り過ぎると皮下脂肪が気道を圧迫して呼吸しづらくなるため、標準体重以下におさえる
愛犬の健康は飼い主さん次第!
愛らしいビジュアルで人気の高い鼻ぺちゃ犬(短頭種)は、さまざまな病気にかかりやすい犬種ですが、圧倒的に多く発症するのが短頭種気道症候群です。
愛犬が短頭種気道症候群を発症しても、適切な治療によって症状の緩和や進行を遅らせることが期待できます。
短頭種気道症候群は若年齢で発症する個体もいますので、「まだ若いから」と油断せず、愛犬の様子に少しでも異変を感じたら早めに動物病院で診てもらいましょう。