犬が人の上に乗ってくる理由・その心理とは?
「愛犬が体の上に乗ってくるのは嬉しいけど、これってマウンティングの意味もあるのかな?」と感じたことはありませんか?
犬が人の上に乗ってくるのにはさまざまな理由や心理の働きがありますが、マウンティングの意図もあるのでしょうか。
そこで今回は、「犬が人の上に乗る理由」や「乗るときの姿勢でわかる犬の心理」、「人の上に乗るのをやめさせる方法」について解説します。
犬が人の上に乗るのはマウンティング?
結論からいうと、犬が人の上に乗ってくるのはマウンティングではありません。
かつては、「犬はオオカミを祖先に持つため、家庭の中でも順位をつくり飼い主にもマウントを取ることがある」という説が一般的でした。
しかし近年の研究ではこのような考え方は否定され、犬は飼い主にマウンティングするよりも親子間のような愛着を持っているとされています。
ただし、犬の「アルファシンドローム」には注意しなければいけません。
「アルファシンドローム」とは、犬が家庭の中で自分が一番偉いとカン違いして家族を支配しようとする問題行動なので、直すためのしつけが必要です。
では、なぜ犬は飼い主さんの体の上に乗ってくるのでしょうか。
犬が人の上に乗る理由
愛犬が飼い主さんのお腹や足などの体の上に乗ってくる理由は、おもに下記のようなものです。
甘えたいから
愛犬が飼い主さんの体の上に乗ってくる理由のひとつは、やはり大好きな飼い主さんのそばで甘えたいから。
甘えん坊の愛犬は、お腹や膝の上に乗ると飼い主さんに密着できるうえ、撫でたり声をかけたりしてもらえるので思う存分甘えられると学習しているのでしょう。
また愛犬が人の体の上で顔を擦るようなしぐさをするのは、飼い主さんにもっと甘えたいという気持ちの表れなので、いじらしい愛犬の思いに応えてあげましょう。
安心したいから
怖い体験をしたり不安を感じたりしているときに、飼い主さんに守られて安心したいという理由で体の上に乗ってくる愛犬も多いもの。
鋭敏な感覚の持ち主である犬は、わずかな音や些細な環境の変化にも敏感に反応します。
そこで感じた不安や恐怖を、飼い主さんの体の上に乗ることで払いのけて安心したいと考えるのです。
親のような愛着を持ち信頼している飼い主さんの体の上は、どこよりも愛犬の気持ちが落ち着き安心できる場所なのでしょう。
寒いから
暑い季節にはあまり近づいてこない愛犬が、冬になると体の上に乗ったりそばにくっついたりすることがありますよね。
こんなときに愛犬が飼い主さんの体の上に乗ってくる理由は、ただ単に「寒いから暖をとりたいだけ」ということも。
犬のなかでも寒さに弱いとされるシングルコートの小型犬の場合、冬はとくに飼い主さんの体の上から離れない、という子が多いのではないでしょうか。
しかし犬はどれほど寒くても、信頼関係が築けていない人の体の上に乗ってくることはないので「安心できて、暖がとれる」、最適な場所を選んでいるのでしょう。
次は、犬が人の体の上に乗るときの姿勢でわかる心理を見ていきましょう。
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乗るときの姿勢でわかる犬の心理
犬が人の体の上に乗っているときの姿勢はさまざまですが、次のような姿勢はそのときの心理状態をあらわしていることがあります。
- 仰向けで寝ている=大好きな飼い主さんの上で安心しきってリラックスしている
- 体をこわばらせて丸めている=寒い・怖いなど不快なことがある
- 横向きで寝ている=犬のもっとも楽な寝姿勢で、心身ともにくつろいでいる
- うつぶせ=すぐに起き上がって行動できるようにしている姿勢で、緊張を感じている
飼い主さんの体の上に乗っている愛犬が緊張やストレスを感じていることがわかったら、撫でたり声をかけたりしてリラックスさせてあげましょう。
上に乗るのをやめさせる方法
愛犬が人の体の上に乗る行為はマウンティングではなく、飼い主さんへの愛情や信頼感があってこその行動なので無理にやめさせる必要はありません。
しかし体に乗る愛犬の快適さを優先するあまり、飼い主さんが必要な用事を後回しにしたり無理な体勢を長時間キープしたりするのもつらいもの。
では、犬に体の上に乗るのをやめさせるのにはどうすればよいのでしょうか。
愛犬が飼い主さんの上に乗ってくるのをやめさせるのには、以下のような方法があります。
- 子犬期から体の上に乗らせたり寝させたりする習慣をつけない
- 「乗ってもいいのは10分間」「飼い主の用事を優先する」などのルールをつくる
- 愛犬が体の上に乗ろうとしてきたら立ち上がる
- 「まて」「ふせ」「ハウス」などのコマンドを学習させる際、「おりて」も覚えさせておく
ただし愛犬が不安や恐怖など何らかのストレスを抱えている場合は、できるかぎり飼い主さんの体の上でリラックスさせてあげましょう。
また、体の上に乗っている愛犬に「おりて」のコマンドを出すときは、きつく叱らないように淡々とした口調で行いましょう。
ワンちゃんなりの愛情表現
犬が人の体の上に乗る行為は、かつてはマウンティングといわれていましたが、現在では飼い主さんへの愛情や信頼などの愛着から起こるものとされています。
愛犬が恐怖や不安を感じて体に乗ってきたと思われる場合は、注意深く様子を見守り、できるだけ原因を取り除いてあげましょう。