おんたの闘病日記│第10話
<日常への回復。CT撮影>
―2020年11月7日
明け方、自分が眠っている布団におんた自ら来て一緒に寝ようとしてきた。発作が起きるようになってからは初めてのことだ。
しかし呼吸が浅くて心配になったため、おんたを起こして水を飲ませた。呼吸が浅いのはレム睡眠が原因であると思われるが、脳圧が高くなっていて発作の前兆である可能性もあるため、気付いたら起こすようにしている。
起床後は、お散歩に連れて行くと昨日と同様に自ら意欲的に歩いた。歩調はしっかりしていて元気だった頃のルーティーンだった合計1.5キロのコースを歩き切った。
※元気に公園をお散歩するおんた
また、お座りしているときに「お手」をさせてみたら、今まで通りのお手をしてくれた。そして、明け方に何度か起きていたため眠かったので一緒にお昼寝をしようと思い「伏せ」をさせたら、これも今まで通りの伏せをしてくれた。
夕方、スーパーに買い出しに行こうと思って上着を着ていたら、おんたが起きてきて玄関へ通じるドアの前でお座りをした。これはお散歩に行きたい時の合図だ。これも発作が起きるようになってからは初めてで、嬉しくてそのままお散歩に行ってしまった。
就寝前、お風呂から上がって裸足でおんたの近くへ行くと、足を舐めてきた。これもおんたにとってはお決まりの行動だったが、発作が起きるようになってからはしていなかったことだ。しかし塩分(僕の汗)を取りすぎて脳圧が上がって発作がおきたらいけない、と心配になり少しだけにしておいた。
今日はたくさんの日常が戻ってきたような感覚。これからも発作が起こらないよう、自分にできることをやってあげようと思う。
※ジョイントマットの上で休憩するおんた
―2020年11月10日
7:00 起床。本日は放射線治療に向けて日本動物高度医療センター(JARMeC)へ行く日だ。CTを撮影して検査をし、放射線治療時に使用するおんたの頭を固定する器具を作る。
到着後、まずはCT撮影のために麻酔をかけるので、同意書に記入して待機した。
※同意書に記入
そしてCTを撮影する前に、脳圧を下げるための点滴、脱水症状等を防ぐための点滴の2種類をそれぞれ約30分程、計1時間行なった。先生から「飼い主さんが一緒の方が落ち着くかもしれないので、ご希望でしたら点滴が終わるまで一緒にいることもできますよ」と言われたので一緒にいることにした。
これが、点滴を打っている間、近くにいるだけだと思っていたのだが、実際は点滴中ずっと抱っこをするということだった(苦笑)おんたは出かけると興奮気味になってしまうので落ち着かせるのが大変だ。腕がパンパンになり、腰が痛くなってしまった。
でも考えてみるとこんなに長時間抱っこすることなんてなかった。まだまだ、色々な時間を一緒に過ごしたいなと思った。
※点滴中のおんた
点滴が終わるとCT検査と器具を作るため、おんたを先生に預けて待合室で待った。「麻酔が切れてから1時間くらい」と聞いていたがその半分近い時間でおんたは帰ってきた。
聞くところによると、脳腫瘍の子は麻酔が効き過ぎてしまう傾向があるが、おんたはそれがなかったそうだ。病状がそこまで重くない、悪化はしていないということなので喜ばしい出来事だ。
その後、また1時間ほど点滴をした。この間もずっと抱っこだったが、まだ麻酔が少し効いているので大人しくてよかった。
※麻酔後、点滴中のおんた
点滴が終わり、おんたの麻酔が完全に切れた後、診察室へ通され説明を受けた。病状は悪化しておらず、問題なく放射線治療を始められるとのことだった。
そして先生と治療のスケジュールを打ち合わせた。疑問点にはきちんとわかりやすく丁寧に説明していただけたので、全く不安なく治療していけそうだ。1回目の放射線治療は、3日後の11月13日となった。
※CT画像を見ながら説明を受けた
帰宅後、おむつにおしっこをしていたので、新しいおむつに替えるために古いおむつを脱がせた途端、部屋中に大量のおしっこをしてしまった。点滴は水分なので、点滴後に大量のおしっこをするのはよくある事らしい。治療が終わったらトイレも思い出してくれますように、と思いながら部屋を掃除した。
お散歩もよく歩き、お気に入りだったカフェの前を通ると入りたがる素振りをした。カフェの存在も思い出してくれたのだろう。
日本動物高度医療センターの先生に、これまでできなくなっていたことを思い出すようになったことを話したら「記憶を司る海馬のあたりの脳の腫れが引いたのかもしれない」と言っていたことを思い出した。
できなくなっていたことが日に日にできるようになってきてくれて嬉しい。
夜はぐっすりと眠ってくれた。
続く。
おんたのパパ&トロンボーン奏者
小池隼人
おんた
2007年7月31日生まれ
犬種:フレンチブルドッグ/年齢:13歳
【interview Vol.01】
似た者同士のふたり。トロンボーン奏者小池隼人と愛犬おんたの13年
<前編>
https://levees-u.com/specialcontents/3525/
<後編>
https://levees-u.com/specialcontents/3516/