
似た者同士のふたり。トロンボーン奏者小池隼人と愛犬おんたの13年【interview Vol.01】
<後編>
「ペットがいる生活っていうのは何事にも変えがたいもの」と話す小池さんとおんた君の13年間は、きっと私たちが想像するよりも濃い時間だったのではと思います。そんな彼に、おんた君とのこれからのことや過去を振り返っての話をお聞きしました。
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似た者同士のふたり。トロンボーン奏者小池隼人と愛犬おんたの13年【interview Vol.01】
愛犬との生活の中で

―おんたくんのお気に入りの遊びはありますか?
あれこれおもちゃを買ったりはしないですけど、 カモがガーガーと鳴くおもちゃで遊ぶことが多いですね。たくさん買い与えても飽きちゃうので、おもちゃは常日頃、見せておかないようにしてるかもしれないです。
このおもちゃで遊ぶよって時だけおもちゃを持ってきて、「はい、遊ぶよ〜」って言って遊んで、遊び終わったらそのおもちゃを隠しちゃうんです。その方が長く遊んでくれると思いますし、おんたも楽しめるんじゃないかなと思っています。

おんたくんお気に入りのカモのおもちゃ。押すと音が鳴るので、噛んで遊ぶのがお気に入りだそうです。
―おんたくんの苦手なことはありますか?
お風呂とドライヤーが嫌いです。大体僕がパンツ一丁で洗うんですけど、パンツ一丁になって近づいていくと、「何かが始まる…!」って分かってるから逃げるんですよ。
お風呂に入れる頻度は、これ以上臭くなったら一緒にいたくないなって思う間隔で(笑)。本人が風呂嫌いだったら、洗わなくていいかなと思っています。
でもだんだんこうちょっと豚骨ラーメンみたいな匂いがしてきて(笑)。「あっちょっと豚骨ラーメンみたいになってきた!」ってなったら洗おうかなみたいな感じです。
おんたがお風呂を嫌がらないでむしろ「お風呂入れてよ」って言う子だったら全然入れたいなって思うんですけど、「やだやだ」ってなってるので、それを無理にいれなくてもいいかなと思っています。
ストレスになることを出来るだけ避けていくようにはしていますね。本人が自分が臭くていられないとは思っていないはずなので、だったらまあいいかなって。ねえ?(おんたくんを見て)

小池さんを見上げるおんたくん。ふたりが視線を交わすと自然と「繋がっている」と感じることが出来ます。
―シニア犬になって新たに気をつけたことはありますか?
人間もそうですけど動物って、歳をとっていくにつれてどんどん赤ちゃんに戻っていくような感覚があって。 赤ちゃんの時は「出来なかったことが出来る」ようになって大人になるけど、今度は「出来ることが出来なくなって」死んでいく。
おんたも前は難なくジャンプできていたソファもうまく登れなくなったりして…足腰の負担を考えて、そのソファは捨てました。ご飯はシニア犬用のものをあげたりとか、あとは白内障になってきちゃったので、効くか効かないか分からないですけど、サプリをあげたりするようになりましたかね。

―フレンチブルドッグを飼っている人におすすめすることなどありますか?
フレンチブルドッグをはじめとする短頭種っていうのは、熱中症で亡くなっちゃう子が本当に多くて…。夏場は飛行機に乗れなかったりだとか、暑さに本当に弱いんですよね。だからもちろん余裕があったらなんですけど、手術をするといいかもって思っています。
というのも僕もひょんなご縁で獣医さんと知り合って、その獣医さんもフレンチブルドッグを飼われている方だったんですよ。
それで以前、おんたの舌に腫瘍みたいなのができて、その獣医さんに相談をして「これは切除しましょう」となった時に、「暑さに弱い犬種の子たちが熱中症で亡くならないように手術をしてみませんか?」と提案をされて、舌の腫瘍を取る時に一緒にその手術をしたんです。

それが軟口蓋(なんこうがい)っていう、いわばのどちんこを切る手術でした。
要は年を取ってくると顔の皮がたるんでくるのと同じように、内側もたるんで気管が狭くなり、呼吸がしづらくなるそうなんです。だからたるんできてしまう部分を切除する手術と、あと実は、鼻の穴を手術して広げているんです。
フレンチブルドッグは鼻呼吸がしづらい犬種で、今もこうやって笑っているように見えるんですけど、これはただ一生懸命口呼吸をしているだけであって。少しでも鼻呼吸をしやすくするために、鼻の穴の入り口を広げる手術をしました。
前はもっと「ぜえぜえ」となっていたんですけど、この2つの手術をしてからそういうのはなくなりましたかね。ただ手術って怖いし不安ではあるので、自分の信頼のおける人や病院にやってもらうのがいいと思います。

時間が経つにつれて追いかけっこをして遊ぶようになったおんたくんと編集長むー。ふたりを優しく見つめる小池さんが印象的でした。
最期の瞬間まで幸せで

―小池さんはペットを飼うことをおすすめしますか?
何かタイミングがあったらぜひ。簡単なことではないけれど、おすすめしたいなって気持ちはありますね。責任持ってペットを飼うっていうのはもちろんですけど、ペットがいる生活っていうのは何事にも変えがたいものだと思っていますから。
―もしもおんたくんと話ができたら、どんなことを聞いてみたいですか?
これは多分ペット飼っている人はみんなそう思うのかなと思うんですけど、「うちに来てどうだった?」って聞きたいですね。「うちに来て楽しい?」「幸せ?」「もっとお散歩に行きたい?」とか、他にも色々聞いてみたいです。
あと最近よく考えるのは「安楽死」について。もう年だから、色々と考えていて…おんたには安楽死の可否を聞いてみたいです。きっと延命治療って辛いはずなのに、本当に延命させることが良いことなのかなって思うことがあって。
知り合いの獣医さんのところで、身内を連れていって、そこでみんなで「じゃあね」ってお別れした方がいいのかなとか考えたりします。だって家に帰ったら亡くなっているとか…いやですから。
人間もそうだけど、治療によって無理やり生かされてっていうよりも、自分の家で自分の好きな人たちに囲まれて死んでいくっていうのが、幸せなんじゃないのかなって思っています。

ペットを延命させたいっていうのは、人間のエゴなんじゃないのかなとも思うし。とはいえ、動物って生命力が強いって聞きますし、もしそうなった時のためにおんたには「生きたい?」と聞きたいですね。
「これ以上治療をやっても辛いだけだけど、最後まで生きたい?」って聞いて「もうそういうのはいいから、みんなの前でお別れしたいな」って思っているんだったら出来るだけそれに添ってやってあげたい。聞けるんだったら、聞きたいです。
でも本当にしゃべれたら、嬉しくて泣いちゃうんだろうなって思います。会話なんて出来ないかもしれない。それでもし喋ることができてめちゃくちゃ嫌われてたらやだな(笑)。ずっと言ってやりたかったんだけどさー!みたいな(笑)。
「元気で長生きしてくれれば」

―もっとしてあげたかったことはありますか?
最近は撮ってるんですけど、小さい時に写真をあまり撮っていなくて。あっという間に大きくなっちゃったので、写真を小さい時にいっぱい撮ってあげればよかったと思いますかね。特に生後半年くらいまですくすく育っていくから、これから犬を飼われる方には撮った方がいいですよと言いたいです。
あとはドッグランとかにたくさん連れていけばよかったっていうのもあります。今はおじいちゃんなんで、あんまり無理させられないなって思って連れてけないんですけど。もっと連れていけばよかったなってちょっと思います。

―おんたくんにこうなって欲しいなっていうのはありますか?
さっきの話と重複するのですがもうシニアなので、最期のことを考えますね。どういうお別れがいいのかとか、俺がいない時にひとりで逝かないで欲しいとか、苦しまないで欲しいとか。
おんたに向かってたまに言うんです。「ポックリいってくれよ」って、どこも悪くならずに、とにかく苦しい顔は見たくないです。
それでもし旅立ったら実家のお庭に埋めて、そこに花を植えたいなとか、そういうことを考えています。
あとちょっと言われるのが、「おんたに似てるな」とか「隼人におんたが似てるね」とか、やっぱり見てて似てきてくれていると思うと嬉しいです。自分と同じように人見知りしない子になってほしいなって思ってはいたのですが、特にしつけたわけではなく自然と人見知りもしなくて。そういうところも一緒にいて似てくれたのかも。
何も不満もないですし、望むこともないですね。
このまま元気で長生きしてくれれば、それだけで嬉しいです。


後編インタビューを終えて
まず、記事を読んでくださりありがとうございます。編集長むーのパパです。
今回、レビーズを立ち上げて初めてのインタビューでした。
実は飼い主の隼人くん、僕の友人なんです。頻繁に飲みに行くようなことはなかったんですが、不思議と街でばったり会うんです。住む場所も行動範囲も全く違うのに。何かの縁だったんでしょうね。今はSNSのおかげで中々会えない友人の様子もわかるようになって、便利なのか寂しいのかわからない時代ですが、レビーズを立ち上げていることを知った彼がすぐに、
「協力するからね」
って連絡をくれたんです。それで、生のインタビューをやっていこうと社内で話が進んだ瞬間に取材依頼を投げました。もちろん快諾。
そして、再会。ちゃんと約束して会うなんて10年ぶりでした。おんたを迎え入れたときも知っている僕としては、SNSでしか見てなかった小池ファミリーを見て、懐かしくて、嬉しかったです。
我が家には編集長むーがいます。今までもたくさんの動物と暮らしてきました。
そんな中で他のファミリーの話をこんなにも真面目に聞くことって、そう滅多にあることではないので、とても勉強になりました。
いつの間にか老犬になった、おんたのこれからのこと。生々しくも、しっかり現実を受け入れようとしている彼の言葉を聞いて、撮影を中断しそうなくらいグッとくるものがありました。
「望むことなんてない、元気に長生きしてくれれば」
もう、これに尽きるんでしょうね。今回この記事を読んでくださった方にも改めて、その尊さや愛おしさが伝わったのではないかと思います。
本当に素敵なインタビューでした。ありがとうございました。
次回のインタビューもどうぞお楽しみくださいね。
▼interview Vol.02
「一緒に成長したい」、海のそばで重ねるロイとの日々
編集長むーのパパより

トロンボーン奏者
小池隼人/HAYATO KOIKE
1983年9月11日
山梨県生まれ
公式HP:
http://koikehayato.com/
Instagram:
https://www.instagram.com/hayatrombone/
Twitter:
https://twitter.com/hayatrombone/