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かけがえのないあなたに届けたいメッセージ【interview Vol.09】

<Part2>

アーティストとしての活動にとどまらず、生き方と働き方を主題にしたインタビューメディア『LAMPPOST』の配信や、古着に新たな価値をつけ循環させる『one BUT ONE』を運営するAnnie Lena Obermeierさん(アニー・玲奈・オーバマイヤー:以下アニーさん)。
パート2では、多彩な活動についてや、彼女だからこそ考える動物への想い、そしてその環境を取り巻く問題などへのお考えを聞かせていただきました。

今回も、レビーズ代表『ムーパパ』との対談でお送りします。

是非、パート1も合わせてご覧ください。

▼<Part1>はこちらから
かけがえのないあなたに届けたいメッセージ【interview Vol.09】<Part1>

ムーパパ:イラスト以外の活動についてお聞きしたいです。

アニーさん:繊維関係に勤める友人から、たくさんの衣類が大量に廃棄されている話を聞いて驚いたんです。新しい物をみんな求めるから、大量に作る。でも、実際はそこまでの量を誰も欲しがってないんじゃないかと思ったんです。
多く作られてるなら、古着だって増えてくるから、そこをもっと回せたらいいなと思っていて。

ムーパパ:必要以上の物がないと安心できなっかりするんですよね。
でも、物がない方がストレスは少ないんだろうなぁと思う事も。
ごめんなさい、僕すごく物を買う人なんです…。

アニーさん:全然なくて大丈夫なんですよ。私、一昨年から多拠点生活をしてるんですけど、スーツケース2個で。

松浦弥太郎さんの『場所はいつも旅先だった』というエッセイの中に、「何かをたくさん持っていることは、なるほど素敵だ。しかし、その持っているものを理解していなければ、持っているとはいえないだろう」という一文があって。

身のまわりで「あれ、そんなとこにあったの?」「これ、いつどこで買ったけ?」って思う物とかって実は必要ないんじゃないかなって。それよりも、自分がそこにあることを認識している必需品だけに囲まれてる方が、大事に出来るし、心地いいなって思います。

とか言いつつ、私も実家は物で溢れてますけどね(笑)でも最近、物を捨てられないんですよ!

ムーパパ:確かに捨てるのはね。最近、断捨離したばっかりで、友人達にいろいろあげたんですけど、やっぱり少ない方がすっきりして気持ちいいというか。
でも、また買ってしまうんです…反省します…。

アニーさん:そうなんですよね。捨ててしまうと燃やすことになるし、それが汚染になるし。だから、できる限り人にあげたいし、回せる循環を作りたいなぁと思って、『one BUT ONE』という活動を始めました。

『one BUT ONE』
出典:@annielenaobermeier

アニーさん:集めた古着に、イラストを描いたワッペンを付けて販売してます。それは、前の持ち主を想像した顔と、この人はこんな言葉を言ってたんじゃないかという、これまた想像上の一言を添えています。使っている生地は印刷会社からもらった廃棄Tシャツの裏なんです。

でも、難しいですよね。それを在庫として持ってる間は、使われてないし。売れてない状態って、結局その服は活かされてないですしね。

『ちゃんと考えて納得したい』

アニーさん:きっかけは衣料の大量廃棄に対しての疑問だったのですが、そこから今起こっている気候危機が気になって畜産業について調べるようになりました。

ムーパパ:すごいな…。

アニーさん:人間が「工業生産的に」牛を増やし続けていることで、彼らのゲップやおならによるCO2の排出で地球が温まっていることや、彼らの餌に、ものすごい土地とエネルギーを使っているというデータを目にして。
そんなことを調べてるうちに、お肉を食べなくなっていったんです。

でも、わたしが調べたことってどれも2次情報で、実際に畜産業に携わる方からお話を聞いたわけではなくて。
もしかしたら、私が持っている情報には偏りもあるかもしれないと思って、牛飼いの方に直接お話を聞かせてもらったんです。

ムーパパ:確かに、それも『動物』のことだもんね。食べ物に対して、大切な生活のこと。

アニーさん:食べることって生きる中でどうやっても切り離せないですよね。だったら、疑問とか無視してる側面があるまま付き合うよりかは、納得して選んだ方がすっきりすると思っていて。

その方たちは「牛がどうやったら幸せに生きられるか」ということを軸に『廃用母牛』という牛を買い取り、放牧で育てています。
ボロボロの状態だった牛たちを、のびのびとした環境で生活させ、彼らが老いたら「命をいただく」という感謝のもとお肉にし、販売する。
そのお金で次の世代の牛たちが、気持ちよく生きられるように環境を整えています。

私は、スーパーのお肉などがどうやってそこに来たかという逆再生動画を見て、その後は畜産業全てが悪だと思っていたし、もう食べられないと思っていたんですけど、彼らの活動や指針を聞いた後は一概にはそう思えなくて。

1つの側面で自分の考えを決めてしまいたくないなと、改めて思いましたね。それからは、ちゃんと自分が納得したものを選んだり、食べたりするようになりました。

『LAMPPOSTー生き方は働き方』
出典:@annielenaobermeier

ムーパパ:動物のことや、ペット業界のことなんて僕も全てを把握しているわけでもないし、何が正解かなんて偉そうに言える立場ではないから。
もちろん口に出しては言えないけど、自分としてはこれは許せないってことはたくさんあります。

ただ、一方的に一部の窓口を責めるってことはできない。
うちの子はペットショップで出会ってるし、実家に代々にいる犬は保護犬とブリーダーさんから譲っていただいた子たちです。
いろんな出会い方があるので、彼らに出会えただけで最高なんです、僕。
一旦、疑うとか、全てを斜めから見てしまうことは避けたいですね。

アニーさん:それでも、自分の決めたお店なり、団体なり、ブリーダーさんについて調べることは必要だと思います。やっぱり、人間のエゴだけで活動している人たちを支持したくないし、全てに目を配らせられるわけじゃないから、自分が関わるところだけでも意識していたいですよね。

ムーパパ:偏った情報だけになるのはちょっとね… 。しっかり慎重に見極めて、知らなければいけないし、考えもしなきゃいけないと思ってます。
今ってたくさん情報が溢れていますし、本当に知りたい事、必要な情報は逃したくないですよね。

アニーさん:考えなくなることが一番ダメなことだと思います。
刻一刻と社会だったり自分自身も考え方が変化してく中で「昔はこうだったから今もこう」じゃなくて 、実際自分が直接関わるところはどうなんだろうって、調べて理解しないと。

ムーパパ:ちなみに、レビーズとかどう思います?どう見えてます?

アニーさん:優しいなって思います。
傷つけないし、攻撃をしないと言うか。
一部の人を攻撃して「これが正しい」って植え付ける感じがないから。
そうじゃないメディアって珍しいなって思ってます。
たぶん、いろんな角度で見て考えてる人たちが運営してるんだろうなって思いましたね。

ムーパパ:そうなんです。優しいんです(笑)
でも、まだまだ未熟なので議論もできないチームだと思うんです。もっともっと勉強しないと。

※アニーさんが描いたレビーズ編集長ムー

“誰かの助けになれたら”

ムーパパ:今後挑戦してみたいこと?野望だったりはありますか?

アニーさん:私「なんか就職するのは違う気がする…」と思って新卒でいきなりアーティストというよく分からない肩書きでフリーランスになったんです。
けど「これでいいのかな」っていつも不安でした。

だから「この人は自分らしく生きてるな」という人にお話を聞いて回ることにしたんです。『LAMPPOSTー生き方は働き方』というタイトルで今は2週間に1度日曜日に『note』で記事を更新しています。

さっきの牛飼いの人たちの話もそうなんですけど、本当に多くの素晴らしい人たちのおかげで気づけたことがたくさんあって。彼らの言葉を通して私が得た気づきを、記事にして他の人にも届けられたらいいなって。

それが、もしかしたら自分の心地よさの発見とか、現状の苦しさから離れられるきっかけになれたらいいなって思ってます。

アニーさん:私、小笠原諸島に行くんです!

ムーパパ:え?小笠原諸島?

アニーさん:そうなんですよ(笑)
小笠原諸島って固有種を守るために外来の木が伐採されているんですけど、その木を使って美しい器と太鼓に変えている作家の方がいるんです。
その方にお話を聞きに旅に出ます(笑)

小笠原諸島での『LAMPPOSTー生き方は働き方』
出典:@annielenaobermeier

いつかこれまでの記事を本にしたいと思っていて、今のところ25人で1冊の本にしていく予定です。けど、最終的には1000人くらいお話を聞いて回りたいですね(笑)
生き方図鑑、みたいなものを作りたい。

そうなると、10年ぐらいかかるかもしれないですけど…

ムーパパ:集大成ですね!
ちらっとチェックしたんですが、いろんなジャンルの方が登場されてるし、更新も頻繁ですよね。

なんだか大変そう….。

アニーさん:「日曜日…間に合うかなぁ」って、毎回思ってます(笑)
この活動を始めてから、知り合いや友達から「こんな面白い人がいるよ!」って紹介してもらったりしていて、周りの人に助けられています。

質問は大体みなさんに同じことを聞いてます。問いに対しての差異が面白いと思うので。どんな人も素晴らしいって伝えれられるように、人選に偏りがないことは意識的に選ばせていただいてます。

自分で言っちゃうのも何ですけど、本当にどの記事も面白いんです(笑)
それはお話を聞かせてもらった方々が、それぞれ自分の思想や哲学を持った人たちだからなんですけど…
そういう人たちの考えを知ると、自分の感覚の栄養分になるし、多くの人に読んでもらいたいですね。

本にしたら1000万部は売りたい(笑)

ムーパパ:1000万部!!

アニーさん:累計でいいんですよ!(笑)60歳ぐらいの時に1000万部が目標です。
「大ヒット作を作りたい!」というよりかは、それだけの数出回ったらやっぱり救われる人って多いんじゃないかなぁって。おごりかもしれないけど、そう信じていて。

ムーパパ:本っていいですよね。形あるものというか。若い時からCDやレコード、雑誌とか好きで。ジャケ買いしたり、雑誌が部屋にあることで綺麗に見えたり。

内容よりも風景や形に惚れてたのかもしれませんね。中古品だったりレンタル落ちしたCDを買って、自分が買ったCDが積み上がっていくことが嬉しくてね。
あ、やばい。昔から余計に買い物してる…。

アニーさん:でも、それって物が持つパワーですよね。携帯電話の中って無限に選択肢があり過ぎて、逆に選択の範囲が狭まってる気がする。
けど、例えば1冊の本の中にいろんな生き方が入っているとする。そしたら最初はお目当てで読むつもりじゃなかった人の人生に偶然出会える可能性がネットよりも高くなる。

そうなると、その本を開かなくても、そこにあるだけで「あ、あれは自分の心を今よりもちょっと自由にしてくれる存在だ…」って、お守りのような効力がある気がするんです。

音楽だって聞いた瞬間に「あの時の恋…」なんてことを思い出させてくれるし。

ムーパパ:タイムスリップできますよね。
アナログな物の魅力の一つなのかなぁ。
是非、アニーさんの本を完成させて欲しいです!

“自分に誠実であること”

ムーパパ:では、アニーさんがみなさんに聞いてる質問を逆にしちゃいますね(笑)成功と失敗の基準は?

アニーさん:えー答えづらい(笑)!人に聞いてる理由は、自分がその答えの基準がはっきりと分からないからなんです。雑誌とかの表紙とかによく「成功者に聞く!」とかってあるじゃないですか。その「成功者」の基準って一体何だろうって。お金ですか?って思ったりもするけれど…。

でも、生きてるだけでもう充分に成功じゃないかなって思うんです。付け加えるなら、今日という日の中で、目一杯笑えたなら大成功じゃないかなって。やっぱり、生きてる!っていう実感があることは幸せだと思います。

ムーパパ:続いて、今日までで一番時間のかかったことは。

アニーさん:私は、すべての悪の根源は「何々すべき」っていう考えだと思っているんです。「大学を卒業したから企業勤めしなきゃいけない」「この人と付き合ってるからこうしなきゃいけない」とか。
枠に収まろうとする、それをしなくてはならないって思ってしまうと、すごく苦しかったなっていうのが経験上あって。

やりたいことに関してもそうですね。「絵描きになるぞ」と決めたからには、これをしなければならない…だって、自分で決めたんだし…っていうのもまた、自分で作った枠に囚われているんですよね。

だから「何かをする」とかは「何々すべき」っていう考え方になっていないか、チェックしています。そうなっていた時は自分が本当にしたいと思っているのか、そうじゃないのかを分析して、それから判断するようにするとスッと動けるようになりました。

今でも無意識に囚われたりしちゃうから、ここはだいぶ意識してますね。

ムーパパ:全国各地で活動をされていて、発信し続けている中で気をつけてることや、大切にしてることはありますか?

アニーさん:私の1番好きな言葉は、夏目漱石の「自分に誠実でないものは、他人に対して決して誠実であり得ない」っていう『行人』に出てくる言葉なんです。
今は手に入れた情報を簡単に発信できる世界だけど、自分で良く考えて、納得したことしか言わないようにしています。

もしかしたら、今日の私と1週間後の私は新しく得た情報から、また考え方が変わっているかもしれない。でも、その時に思ったこと、感じたことに対しては誠実でいる。
じゃないと「本当の自分はこうじゃないのに」って、自分に対して言い訳をしてしまう気がするんです。

いつか考えは変わるかもしれないけど、その時々に自分に誠実であれば「あれはあの時の自分がちゃんと考えて出した答えだった」って、それはそれで納得できるだろうし。

ムーパパ:なんか凄いなぁ…。でも、そのことで今までトラブルなどはなかったですか?

アニーさん:ないですね。でも「そのデータどこのデータですか」とかはコメントいただくことはありますね。
だから、ちゃんと調べて、データに基づいたものを載せるようには気をつけてます。

ムーパパ:なるほど。確かに情報が多すぎるせいで、逆にみんながすごい素直じゃなくなっているのかなぁって思えたりする時もありますね。
その分、昔よりは本当に便利な世の中なんでしょうけどね。

例えば、素直に好きだとか、これが良いだとか、自分の思ってることを言うだけで、とやかく言われるようなツーツーな世の中なんですよね。でも、とても便利なことも多いけど…。
だからこそ「自分に誠実であること」って言葉に救われますね。
僕らがやってることは、素晴らしいことだと思ってやってるし、正しいと思ったことをやり続けないとですね。

でも、案外まだ不安で人の評判をやはり気にしてしまう。そんなこんなしていたら、すごい良いことも見逃しちゃってるんだろうなぁ。

アニーさん:みんなと一緒に足並みを揃えた方が、安心って感じる人もいますし、浮かないようにするのが正義みたいな部分もたくさんあると思います。

けど私は馴染めないのが悩みだったので「みんなユニークでいい」「あなたの好きなようにやっていい」「それで素晴らしい」って言ってくれる人がもっといたら良いのになぁなんて思ったり。
だから、そんなメッセージを発信する側として活動していたいです。

ムーパパ:やだ、素敵…。

続く。

パート2はここまで

パート2もお読みいただきありがとうございます。
様々な想いを絵として表現し、時に言葉に込めて発信するアニーさん。
「ちゃんと考えて納得したい」と語った彼女の言葉はとても力強く、揺るぎない想いだと感じました。
彼女の集大成となる作品集の完成も楽しみに待っています。
次回は、最終章のパート3。
アーティストとしての制作の様子や、作品への想い、志してる方へのメッセージなどをお聞かせいただきました。どうぞお楽しみに。

ムーパパとレビーズ編集部

▼<Part3>
かけがえのないあなたに届けたいメッセージ【interview Vol.09】<Part3>

Annie Lena Obermeier/ <br>アニー・玲奈・オーバマイヤー
PROFILE

Annie Lena Obermeier/
アニー・玲奈・オーバマイヤー

京都府出身。作品に『Dear Precious/かけがえのないあなたへ』と、メッセージ込め活動するアーティスト。 その他にも、生き方と働き方を主題にしたインタビューメディア『LAMPPOST』の配信や、古着に新たな価値をつけ循環させる『one BUT ONE』 など、枠にとらわれずさまざまな分野で活動を続ける。美術館巡りが好きだが、作者や作品名が全然覚えられないという、少し天然な一面も。

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