おんたの闘病日記│第8話
<治療方法の選択>
― 2020年11月1日
午前4:28、自分の布団で一緒に寝ているところで9回目の発作が起きた。
すぐに座薬を使用して痙攣が止まった後も、横たわった状態で呼吸がかなり荒いまま2分ほど経過した。そして呼吸が落ち着くと室内を回るように歩き始めた。
※脳腫瘍の症状に見られる「旋回運動」で、一定の方向にぐるぐると回るように歩く動作。
また、徘徊中におしっこをしてしまった。普段は絶対に家の中で排泄しないので、よほど混乱しているのだろう。
ようやく落ち着いたのでまた体を休めていると、わずか3時間後の8:07に10回目の発作が起きた。
自分のハウスで寝ているところでの発作だった。痙攣が止まった後も3分ほど横たわったままで呼吸が荒く、苦しそうだった。先程と同じく旋回運動も見られた。
1時間程して状態は落ち着き、妹が駆けつけてくれたところでおんたを置いて一人かかりつけ医の元へ。昨日のMRI結果を渡し、その後も発作が収まらない旨を伝えた。
かかりつけ医の先生も、MRI検査をしたキャミック城南の先生と同様、やはり手術が得策ではなさそうとの見解だった。
今後、飼い主として迫られる選択は、
「放射線治療をする」
「苦しまない余生を過ごさせる」
の2つに絞られた。
放射線治療に関しては、川崎にある日本動物高度医療センターを紹介してもらい、そこで専門医に見てもらって説明を受けてから、どのような選択をするか決めることとなる。
4日後の11月5日に日本動物高度医療センターの予約を取ることができた。
また、薬の量と種類も増やしてもらった。これで発作が起こらないようにするらしい。
- レネバル(抗生物質) 1日1回、1回1/2錠
- ゾニサミド(抗てんかん薬) 1日2回、1回1錠
- プレドニゾロン(ステロイド) 1日1回、1回2錠
- イーケプラ(抗てんかん薬) 1日3回、1回1/4錠
その後、数時間レコーディングの仕事へ行き、帰宅後におんたを外に出したが全く歩かなかった。
後ろ足に力が入らない様子で、数歩歩くと尻もちをついてしまう。
無理に歩かせるわけにもいかないので、すぐに家に戻った。
※数歩歩くと尻もちをついてしまうおんた
<発作に備えた環境を整える>
― 2020年11月3日
この日はお世話になった方の結婚式。しかし事情を話して結婚式は欠席させてもらい、演奏の依頼を受けていた披露宴のみ参加して、披露宴後ホームセンターに寄った。
おんたの発作がいつ起こるか分からないので、何かあったらすぐに対応できるように今までリビング(おんたの部屋)に敷き布団を敷いて一緒に寝ていたが、それだけだと布団が薄く体が凝り固まってしまうので、更に1枚下に敷く用の敷き布団を買うためだ。
帰宅して片付けていると、披露宴のお土産でもらったラスクが入った紙袋を振った時の「シャカシャカ」という音におんたがかなり反応して、音が鳴る方へ歩いてくれた。目はかなり悪くて見えてなさそうなのだが、音はきちんと聞こえているようだ。そして食い意地だけは健在のようだ。
「もしかしたら…」と思いおんたを連れて外へ出て、この紙袋をおんたの顔の前で「シャカシャカ」と振ると、よちよち歩きだが前進してくれた。
ほとんど歩けなくなっていたおんたが歩いてくれたのが嬉しくて、いつもの散歩道をラスクの袋を「シャカシャカ」させながらしばらく歩いた。なかなか異様な光景だったかもしれない。
夜は購入した敷布団を敷いて、おんたと同じ部屋で就寝。発作が起こったらすぐに対応できるようにして寝た。
他にも発作が起きた時に備えて以下の物を購入した。
- おむつ
→発作時にお漏らしをしてしまうため、部屋が汚れてしまわないように。 - ジョイントマット
→発作時に倒れたりして床に頭を打ちつけた時の衝撃を弱めるため。 - 円形サークル(メッシュ素材)
→発作後の目があまり見えていない状態で部屋中を徘徊して壁や家具にぶつかってしまわないように、発作後におんたを入れておくため。
続く。
おんたのパパ&トロンボーン奏者
小池隼人
おんた
2007年7月31日生まれ
犬種:フレンチブルドッグ/年齢:13歳
【interview Vol.01】
似た者同士のふたり。トロンボーン奏者小池隼人と愛犬おんたの13年
<前編>
https://levees-u.com/specialcontents/3525/
<後編>
https://levees-u.com/specialcontents/3516/