おんたの闘病日記│第7話
<不安で目覚める朝>
― 2020年10月31日
朝7:00頃、普段だったら起きないような時間に目が覚める。
携帯を見ると妹から、6:00前くらいにおんたに発作が起こったと連絡が入っていた。
すぐに返事をすると妹もまだ起きており、電話をした。
発作自体はやはり2分ほどで収まったが、発作後は1時間ほど座り込み、ある程度呼吸が整ってから室内の徘徊を始めたとのこと。
妹には「申し訳ないけど、おんたと同じ部屋で寝てもらえると助かる」とお願いしていたので、迅速な対処ができてよかった。
子供が机の角にぶつかった時の怪我を防ぐような用途のクッションを注文してあり、届いたらそれを部屋中の家具の角に貼ってほしいと頼んで終話した。
― MRI検査の受診
その後、妹は少し休んでから落ち着いたおんたをMRIの検査ができるキャミック城南という検診機関へ連れて行ってくれた。
受付を済ませてからおんたを預け、担当医から「軽い全身麻酔をかけてから、MRIを撮影する」と検査の説明をされたそうだ。
検査は2時間半ほどで、検査が終わってから検査結果を聞いたそう。
妹には「今日の演奏が終わるまでは、検査結果を黙っていて欲しい」と頼んでいたので、逐一様子だけを教えてもらった。
検査から帰ってきたおんたは、全身麻酔がかかっていたとは思えないような普通の顔をしていたそうで少し安心した。
この日は新潟で演奏があるので、遠くから心配しながらも現場へ向かった。
到着後かなりバタバタとしてしまい、あっという間に演奏終了。
もちろん、おんたに恥じぬ演奏ができたと思う。
メンバーに頼み、この日の最終新幹線で東京に帰らせてもらうことにした。
自分を車で会場から新潟駅まで送り届けてくれたメンバーたち。
本当に温かい仲間に恵まれたと思った。
新幹線の中で眠りたかったが、乗り込んで間もなく妹から連絡が。
21:45に発作が起きたとのこと。
ベッドの上で休憩していたら、急に表情が苦しそうになり泡を吹いて倒れたらしい。
痙攣は2分程ですぐに収まり、発作後もしばらく座った状態のままで呼吸を整えていた。
落ち着いてからは、やはり部屋の中を徘徊していたそうだ。
この時も目が見えていない様子で、部屋の壁や家具にぶつかったりしていたらしい。あらかじめ家具の角に貼り付けていたクッションが早速役に立ってしまった。
※机の脚に付けたクッション
― MRI検査の結果
妹と連絡を取り合っていたらあっという間に東京駅へ着き、日付が変わって1:00頃に帰宅した。
そして妹から検査結果の説明を受けた。
診断結果は『脳腫瘍』。
今後の治療について質問したところ、外科手術の場合、腫瘍を取り除くことができないわけではないが、全てきれいに取り切るのは難しいため、治療法として1番最初の選択肢にはならないそう。
放射線治療や、薬を飲ませて発作が起こらないようにしながら過ごす方法が良さそうだと言われたらしい。
結果は薄々分かっていたので、このとき涙は出なかった。
ただ、受け止めきれない現実を、どう受け止め、進んでいくか。
今日からしばらく大きな予定はないので、おんたのそばにいてあげられる。
彼の余生について、しっかり考えなければ。
※この日のおんた
続く。
おんたのパパ&トロンボーン奏者
小池隼人
おんた
2007年7月31日生まれ
犬種:フレンチブルドッグ/年齢:13歳
【interview Vol.01】
似た者同士のふたり。トロンボーン奏者小池隼人と愛犬おんたの13年
<前編>
https://levees-u.com/specialcontents/3525/
<後編>
https://levees-u.com/specialcontents/3516/